富井健

我々が受けてきた教育は、国家主義、集団主義の教育である。 人間は国家のために、社会や共同体のために存在すると教えられてきた。もちろん、個性の重視とか個の自立が叫ばれてきたが、それは本筋ではないのだ。国家が多額の金を出している義務教育制度において、国家の意思が第一に置かれていることは疑うべくもない。 ** 戦前の日本は国家主義教育で、戦後はそうではない、と考えるのは誤りである。世界のすべての近代国家は、戦前も戦後も、ヘーゲル―デューイの社会主義、国家主義の強い影響下にあるのだ。むしろ、戦後、ますます聖書の神が捨てられる傾向がある以上、社会主義、国家主義、集団主義の圧力は強くなるといえるだろう。